化粧品メーカーであればどこでも良かったわけではない。市販されている清涼グッズなどを吟味していった中で浮かんだのが有名な男性化粧品ブランド「ギャツビー」を有するマンダムだった。
そしてアールエスタイチの開発スタッフである栗栖が持ち込んだ企画にマンダム側も興味を示した。
「最初に共同開発の話を聞いたとき少し困惑しました」とマンダムの山科氏。というのもマンダムの開発スタッフたちはバイクに対する経験や知識が皆無だったから。しかしライダーの現状とアールエスタイチ側の要望を聞くと、マンダムが長年培ってきた清涼感技術や皮膚感覚センサーの研究から生まれた「Kai-tech(快テック)技術」を応用できるのではないかと感じたという。
しかし開発は容易ではなかった。なぜならマンダムには過去にそのような過酷環境で使うという製品が存在しなかったからだ。アールエスタイチとの綿密なやり取りの中から、想像以上に走行中のライダーは酷暑で不快であることがわかった。そこで、ライダー走行中の過酷な環境の再現をするところから開発は始まった。この過酷状態でどうやって心地よく快適に使用できるか、まずは既存製品の処方をベースに試行錯誤を重ねた。清涼成分の種類や比率を高めると清涼感は向上するが、同時に痛みを伴う不快な刺激が生じることも。また、このような酷暑環境下では液がすぐに気化してしまい清涼感が続かなくなるという課題も生じた。そこでメントールによる不快刺激を緩和し、走行風による心地よい爽快感を長時間持続させるマンダム独自技術「Kai-tech Air技術」を応用したのだ。
「配合する消臭成分は天然由来にこだわりました」と齋藤氏。マンダム独自のKai tech Air技術に加え、ライダーたちの夏場の不快要素の一つである汗臭い衣類のニオイを解消するため、メイド・イン・ジャパンをイメージさせる“緑茶”と“柿”2つの消臭成分を配合。こうして、長時間持続して快適な清涼感が得られつつ消臭効果が高いライダーのためだけに開発された液体「LIQUIDWIND WATER」を完成させたのだ。